分析ツールを使った回帰分析

Microsoft Excelでは、代表的な統計手法を簡単に行うためのツールとして、「分析ツール」というものが用意されています。ここでは、「分析ツール」を利用した回帰分析の方法を説明します。

例として、被説明変数を賃金上昇率、説明変数を完全失業率物価上昇率とする回帰分析を行います。

ワークシートにデータを入力します。データはここにあるので、リンクを右クリックし、「対象をファイルに保存」を選び、各自のフォルダに保存し、そのファイルを開いてください。

ファイルを開くと次のようになります。

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次に、「ツール(T)」-「分析ツール(D)...」を選択します。

「分析ツール(D)...」を選択すると、以下のような画面が表示されます。ここで、「回帰分析」を選択し、「OK」ボタンをクリックしてください。

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次のように設定して「OK」ボタンをクリックします。

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「入力Y範囲」は、被説明変数が入力されている範囲を指定します。データは列方向に入力されていなければなりません。

「入力X範囲」は、説明変数が入力されている範囲を指定します。説明変数が複数個ある場合は、複数列を同時に指定します。この場合だと、A列とB列を同時に指定しています。隣り合っていない複数の列を指定することはできませんので、重回帰分析を行うときは気をつけましょう。

「ラベル」にチェックを入れると、「入力Y範囲」、「入力X範囲」の1行目が変数の説明であって、数値データではないことになります。

「一覧の出力先」をクリックして、$A$28を指定しました。これは、回帰分析の結果をセルA28を左端として出力することを意味します。

「残差」にチェックを入れると、回帰分析の残差(わかりますよね?)を出力します。

「観測値グラフの作成」にチェックを入れると、説明変数と理論値の散布図を表示します。

「OK」ボタンを押すと、いろいろな数値が表示されますが、ここでは必要な部分だけ説明します。

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概要では、決定係数、自由度修正済み決定係数、重相関係数を読み取れます。ここでは、

「重相関 R」:重相関係数
「重決定 R2」:決定係数
「補正 R2」:自由度修正済み決定係数

の意味です。

次に、以下の部分に注目してください。

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これが回帰係数です。これより、回帰式は

(賃金上昇率)=16.11-5.54×(完全失業率)+0.72×(物価上昇率

とあらわされることがわかります。つまり、賃金上昇率は、

1. 完全失業率が上がると減少する。
2. 物価上昇率があがると増加する。

ことがわかります。

残差出力の部分は、回帰分析の結果計算できる理論値(Excelでは予測値と表示されています)と、残差を表示しています。(時間がある人は、残差の合計が0になること、また、残差と各説明変数の積の合計が0になることを確認してください。)

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出力された2枚のグラフは、被説明変数と、説明変数を縦軸、横軸にとり、実際のデータと、回帰分析による理論値を散布図にしたものです。比較的、青い点とピンクの点が近い位置にプロットされており、回帰式の当てはまりがよいことがわかります。

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